JAL123-急減圧流は存在しないと「事故調は認識している」(1) ― 2016年01月19日
(修正) 「当記事の要点」を全部削除しました。<R5/2023-8-4>
「なくても良い」と判断しました。
同時に、「見出し」としての<当記事の要点><記事本文>も削除しました。
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日本航空123便の墜落原因として、「事故調査委員会」は、「修理ミス」によって強度が低下していた「後部与圧隔壁」が、飛行中に破壊され、その結果、「発生した急減圧流によって」、垂直尾翼や機体最後部のAPU(補助動力装置)が、数秒間のうちに破壊・脱落したと主張しています。
図1 事故調が主張する機体最後部の破壊プロセス
(出典: 米田憲司著『御巣鷹の謎を追う 日航123便事故20年』 宝島社)
※※ 図を参照しながら、本文をご覧になる場合、当記事を 「二つのタブ」 で同時に開き、一方のタブを 「図の表示専用」 にすると、非常に便利です。
※恐らく、事故調が、マスコミなどへの説明目的で、みずから作成したものと思います。
この図には、少なくとも、1件の「トリック」があります。
上から2番目の図で、「プレッシャー リリーフドア 開く」とあります。
結論から先に述べると、「このドアが開けば、3番目、4番目の図は成立しません」。
「後部与圧隔壁」が、何らかの理由で飛行中に破壊された時、3番目、4番目の図のような強烈な機体の破壊が生じないように、それを防ぐために、このドアを取付けてあります。
要するに「安全弁」として設けています。
したがって、本来ならば、3番目、4番目の図は、あり得ません。
事故調は、誰よりも、それを良く知っています。
これを「隠すために」、事故調は、さらなる「トリックを仕掛けました」。
「このドアの開口面積が小さかったために、安全弁としての役目を果たせなかった」という主旨の記述を行っています。
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「事故調査報告書」を読むと、これらの主張が「トリックだと」良く分ります。
ありもしない「急減圧流」(注1)が、「存在した」と、何としてでも人々に思い込ませるために、事故報告書には、10件以上ものトリックを仕掛けています。
今後、そのトリックを一つひとつ、分析して行きます。
(注1)生存者の証言などを見ると、「若干の減圧は存在したように」思います。
しかし、垂直尾翼や、機体尾部のAPU(補助動力装置)を短時間のうちに破壊し、機体から脱落させるほどの、「強烈な急減圧流」は、「存在しなかった」と言わざるを得ません。
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トリックを個別に分析する際に、「事故報告書の該当する部分」を引用します。
結果的に、「細切れの引用」になります。
そのため、事故報告書の中で、「プレッシャー・リリーフ・ドア」に関する記述の全体像が分りにくくなります。
それを防ぐために、以下、関係する部分を、念のため丸ごと引用します。
味も素っ気もない文章なので、読みづらいかもしれません。
その場合は、読み飛ばしても差し支えありません。
上記のように、今後、一つひとつ個別に引用しますので。
以下の引用文で、少しでも見やすくするため、原文にない「改行」を多数加えています。
文頭の「一字下げ」も省略しています。
ただし、内容自体は、一字一句、改変していません。
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事故調査報告書 第1冊目 「プレッシャ・リリーフ・ドア」に関する部分を引用。
(106ページ)
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3.2.3.2 APU防火壁を含む尾部胴体の損壊
(中略)
(1) プレッシャ・リリーフ・ドア
このドアは墜落現場付近で発見された。
事故初期においてこのドアが開いたかどうかを知るための分解調査、試験等を行ったが、これを明らかにすることはできなかった(2.15.5参照)(注2)。
しかし、このドアは差圧1.0~1.5psiで開口するように設計されており、またドアの損壊状態からも開口した可能性が高いと推定される。
このドアが開口したとしても、その開口面積は後部圧力隔壁推定開口部からの流出空気を機外に放出するに十分な面積ではなく、尾部胴体内の圧力は急激に上昇したと推定される。
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(引用、以上)
(注2)「2.15.5参照」は、「2.16.5参照」の誤りです。
「2.15.5」の項番は存在しません。
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事故調査報告書 第1冊目 「プレッシャ・リリーフ・ドア」に関する部分を引用。
(60~62ページ)
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2.16.5 スタビライザ・ジャッキ・スクリュ・アクセス・ドアに関する調査
(1) スタビライザ・ジャッキ・スクリュ・アクセス・ドア(以下「プレッシャ・リリーフ・ドア」という。)は、後部胴体内のスタビライザ・ジャッキ・スクリュへのアクセス・ドアであると同時に、非与圧区域である後部圧力隔壁より後方の後部胴体内が何らかの原因(*1)で加圧され、一定の圧力に達すると開いて加圧空気を機外に放出し、構造部材の破壊を防ぐ機能も有している。
(*1)加圧の原因としては、APU高圧空気ダクト及び後部圧力隔壁の破損等が考えられる。
プレッシャ・リリーフ・ドアは、面積0.485平方メートルを有し、前方がヒンジ、後方が(2)のラッチの外側へ開くドアである。
(2) プレッシャ・リリーフ・ドアは、スプリング式のラッチ機構を有し、製造仕様書によると、ラッチ機構は後部胴体内と外気圧との圧力差が1.0psi~1.5psiのときラッチが外れる(ドアは開く。)よう定められている。
さらに、製造時にはラッチ機構のローラの中心線上に199.6キログラム(440ポンド)±18.1キログラム(40ポンド)の荷重をかけたとき、ラッチが外れるよう調整及び試験することが定められている。
同機に装備されていたラッチ機構は、同機に装備されて以後修理又は調整等の作業は行われていない(ラッチの調整はマニュアルで禁じられている。)。
(3) プレッシャ・リリーフ・ドアは、地上において開状態に固定するためのスティ・ブレース(連結棒)がプレッシャ・リリーフ・ドア側の取付部で破損し、スティ・ブレースと切り離されていた。
ヒンジ付近のプレッシャ・リリーフ・ドア外板の端に、プレッシャ・リリーフ・ドアが開方向へオーバ・スウィングしたことにより発生したものとみられる変形があった。
その他プレッシャ・リリーフ・ドアに損傷はなかった(写真-25~29参照)。
(4) ラッチ機構のスプリングの長さは次のとおりであった(写真-32参照)。
(中略)
(5) 当該ラッチ機構を分解した結果、ショルダ・ナットにトラニオンとの間のこすれによるすり傷が認められた(写真-30及び31参照)。
ショルダ・ナットとトラニオンの間のこすれはプレッシャ・リリーフ・ドアを手動で開閉する場合には発生せずプレッシャ・リリーフ・ドアが閉状態から手動操作以外の力により開かれた場合にのみ発生する(付図-33参照)。
しかし、ラッチ機構は2.16.5.2に前述(注3)のとおり、製造時に調整及び試験が行われており、この際にもショルダ・ナットにはトラニオンとの間のこすれによるすり傷が発生するものと考えられる。
当該ショルダ・ナットに認められたすり傷が、製造時の試験の際に発生したもののみであるのか、あるいは同機の飛行中にラッチが外れた場合に発生するであろうすり傷が含まれているのかを明らかにすることはできなかった。
(6) ラッチ機構の製造者の定める要領に従って、プレッシャ・リリーフ・ドアの機能試験を実施した結果、プレッシャ・リリーフ・ドアは規定の199.6キログラム(440ポンド)に対して約110キログラム(3回の平均値)の荷重で開いた。
(7) ラッチ機構のローラ中心線上に加えられる荷重とドアが外気圧との差圧によって受ける圧力との関係は次のとおりである。
ローラ中心線上の荷重 差圧
199.6キログラム 約1.2 psi
110 キログラム 約0.7 psi
(8) 同機の飛行中、異常事態発生前の客室と外気圧との差圧は、約8.66psiと推定される。
したがって、飛行中後部胴体内が客室の空気圧により加圧されたものとすると、当該ドアは開いたものと推定される。
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(引用、以上)
(注3)「2.16.5.2に前述」は、「2.16.5の(2)に前述」の誤りです。
「2.16.5.2」の項番は存在しません。
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◎事故調査報告書は、「運輸安全委員会」のホームページからダウンロードできます。
■運輸安全委員会
http://www.mlit.go.jp/jtsb/
■メインのタイトル: 航空事故の概要
http://jtsb.mlit.go.jp/jtsb/aircraft/detail.php?id=500
■サブのタイトル: 62-2 JA8119
日本航空株式会社所属
ボーイング式747SR-100型JA8119
群馬県多野郡上野村山中
昭和60年8月12日
ファイル一覧へ
http://www.mlit.go.jp/jtsb/aircraft/rep-acci/62-2-JA8119.pdf
■個別PDFファイル一覧のタイトル:
5.
62-2-JA8119
日本航空(株)所属 ボーイング 747SR-100型 JA8119 群馬県多野郡上野村
http://jtsb.mlit.go.jp/jtsb/aircraft/download/bunkatsu.html#5
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◎東京・新橋の「航空図書館(日本航空協会)」に、事故調査報告書の現物があります。
http://www.aero.or.jp/koku_tosyokan/koku_toshokan.html
誰でも、自由に無料で閲覧できます。
ただし、一般の図書は、館外貸し出しも受付けていますが、「事故調査報告書」は、館内閲覧しかできません。
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