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JAL123-急減圧流は存在しないと「事故調は認識している」(8)2016年03月15日

[カテゴリ: JAL123便>事故報告書]

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(修正) 「当記事の要点」を全部削除しました。<R5/2023-8-4>

「なくても良い」と判断しました。

同時に、「見出し」としての<当記事の要点><記事本文>も削除しました。
==========


※ 第7回目の記事から、続きます。
https://21utbmjdai.asablo.jp/blog/2016/03/01/8035414


「航空事故調査報告書 第1冊目 P.61」で、次の部分を引用します。

『2.16.5 スタビライザ・ジャッキ・スクリュ・アクセス・ドアに関する調査』

(読みやすくするため、原文にない改行を、それぞれに加えています)。

(引用E)
---------------------------------------------------------------------------------
(5) 当該ラッチ機構を分解した結果、ショルダ・ナットにトラニオンとの間のこすれによるすり傷が認められた(写真-30及び31参照)。

ショルダ・ナットとトラニオンの間のこすれはプレッシャ・リリーフ・ドアを手動で開閉する場合には発生せずプレッシャ・リリーフ・ドアが閉状態から手動操作以外の力により開かれた場合にのみ発生する(付図-33参照)。

しかし、ラッチ機構は2.16.5.2に前述のとおり、製造時に調整及び試験が行われており、この際にもショルダ・ナットにはトラニオンとの間のこすれによるすり傷が発生するものと考えられる。

当該ショルダ・ナットに認められたすり傷が、製造時の試験の際に発生したもののみであるのか、あるいは同機の飛行中にラッチが外れた場合に発生するであろうすり傷が含まれているのかを明らかにすることはできなかった。
---------------------------------------------------------------------------------
(引用、以上)


(引用E、に対する説明)

「ショルダ・ナット」、および「トラニオン」を、図1に、赤色文字で示します。

図1 ラッチ機構の全体図(赤色文字補正図)

図1 ラッチ機構の全体図(赤色文字補正図)

(出典: 『航空事故調査報告書 第1冊目 付図-33 プレッシャ・リリーフ・ドアのラッチ機構』 運輸省航空事故調査委員会、を引用・抜粋編集)

※ 元図は、文字が不鮮明なので、図1では、文字を補正しています(内容は同じです)。

※ 必要があれば、第6回目の記事を参照して下さい。
『JAL123-急減圧流は存在しないと「事故調は認識している」(6)』 2016年02月25日
https://21utbmjdai.asablo.jp/blog/2016/02/25/8028792


「ショルダ・ナット」、および「トラニオン」の動きについて。

「引用E」の2行目、前半部
---------------------------------------------------------------------------------
ショルダ・ナットとトラニオンの間のこすれは

プレッシャ・リリーフ・ドアを手動で開閉する場合

には発生せず
---------------------------------------------------------------------------------
(引用、以上)

「ドアを手動で開閉する場合」とは、図2の状態を指します。

ラッチ機構の動作説明「手動で開いた状態」

図2 ラッチ機構の動作説明「手動で開いた状態」
(出典: 『航空事故調査報告書 第1冊目 付図-33 プレッシャ・リリーフ・ドアのラッチ機構』 運輸省航空事故調査委員会、を引用・抜粋編集)


「引用E」の2行目、後半部
---------------------------------------------------------------------------------
プレッシャ・リリーフ・ドアが

閉状態から手動操作以外の力により開かれた場合

にのみ発生する
---------------------------------------------------------------------------------
(引用、以上)

「手動操作以外の力により開かれた」とは、日本航空123便の場合は、「急減圧流の圧力によって開かれた」という意味になります。

この時の、ドアの開き方は、図3のようになります。

ラッチ機構の動作説明「自動的に開き始めた状態」

図3 ラッチ機構の動作説明「自動的に開き始めた状態」
(出典: 『航空事故調査報告書 第1冊目 付図-33 プレッシャ・リリーフ・ドアのラッチ機構』 運輸省航空事故調査委員会、を引用・抜粋編集)

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(分析E)(トリック4) ※ 「トリックあり」を、「トリック4」に変更 2016-4-22

「引用E」の最終行を引用します。
---------------------------------------------------------------------------------
当該ショルダ・ナットに認められたすり傷が、

製造時の試験の際に発生したもののみであるのか、

あるいは同機の飛行中にラッチが外れた場合に発生するであろうすり傷が含まれているのか

を明らかにすることはできなかった。
---------------------------------------------------------------------------------
(引用、以上)

言葉どおり受け止めると、これは「正論」と言えます。
トリックはありません。

しかし、「言葉どおり受け止める」ことは、とてもできません。

図4 ショルダ・ナットのすり傷(左側)

図4 ショルダ・ナットのすり傷(左側)
(出典: 『航空事故調査報告書 第1冊目 写真-30 プレッシャ・リリーフ・ドア・ラッチ機構 ショルダ・ナットのすり傷(左側)』 運輸省航空事故調査委員会、を引用)

※ 図の説明どおり、「ショルダ・ナットのすり傷」を示す写真です。

図中の説明文、「これらの傷は、分解作業のため発生したものである。」
これに注目して下さい。

これらの傷は、墜落後、残骸を回収した時からあったのではなく、事故調が、原因調査のため、ショルダ・ナットを分解する際に、生じた傷だと、事故調みずから言明しています。

なぜ、そのように言明できるのか?
それは、これらの傷が「非常に新しい」からです。
分解作業中にできた傷です。「新しい」のは当然です。
そのため、同じ傷でありながら、他の「古傷」と容易に見分けることができたわけです。


「引用E」の下2行目を引用します。
---------------------------------------------------------------------------------
しかし、ラッチ機構は2.16.5.2に前述のとおり、

製造時に調整及び試験が行われており、

この際にもショルダ・ナットにはトラニオンとの間のこすれによるすり傷が発生するもの

と考えられる。
---------------------------------------------------------------------------------
(引用、以上)


「2.16.5.2に前述」とは、以下の引用部分を指します。
---------------------------------------------------------------------------------
(2) プレッシャ・リリーフ・ドアは、スプリング式のラッチ機構を有し、

製造仕様書によると、

(中略)

製造時にはラッチ機構のローラの中心線上に199.6キログラム(440ポンド)±18.1キログラム(40ポンド)の荷重をかけたとき、ラッチが外れるよう調整及び試験することが定められている。

同機に装備されていたラッチ機構は、同機に装備されて以後修理又は調整等の作業は行われていない(ラッチの調整はマニュアルで禁じられている。)。
---------------------------------------------------------------------------------
(引用、以上)

※ 必要があれば、第6回目の記事を参照して下さい。
『JAL123-急減圧流は存在しないと「事故調は認識している」(6)』 2016年02月25日
https://21utbmjdai.asablo.jp/blog/2016/02/25/8028792

※ 上記の「同機」とは、もちろん123便の機体を指します。


123便の機体、「国籍・登録記号:JA8119。 製造番号:第20783号」の製造日は、事故調査報告書によれば、昭和49年(1974年)1月30日です。

---------------------------------------------------------------------------------
同機に装備されていたラッチ機構は、同機に装備されて以後修理又は調整等の作業は行われていない(ラッチの調整はマニュアルで禁じられている。)。
---------------------------------------------------------------------------------
上記の引用文では、このように明記しています。


さらに、「引用E」の最終行には、以下のように記述しています。
---------------------------------------------------------------------------------
当該ショルダ・ナットに認められたすり傷が、

製造時の試験の際に発生したもののみであるのか、

あるいは同機の飛行中にラッチが外れた場合に発生するであろうすり傷が含まれているのか
---------------------------------------------------------------------------------
(引用、以上)


さらに、「引用E」の上2行目には、次のように記述しています。
---------------------------------------------------------------------------------
ショルダ・ナットとトラニオンの間のこすれは

プレッシャ・リリーフ・ドアを手動で開閉する場合には発生せず

プレッシャ・リリーフ・ドアが閉状態から手動操作以外の力により開かれた場合にのみ

発生する
---------------------------------------------------------------------------------

これらを重ね合わせると、以下のようになります。

◎ ショルダ・ナットの傷は、製造時の、「調整および試験の際に付いた」可能性がある。
◎ その時、付いたならば、それは、製造日である昭和49年(1974年)1月30日以前に間違いない(注1)
◎ 急減圧流でドアが開いた時、付いた傷ならば、それは、墜落した昭和60年(1985年)8月12日に間違いない。
◎ これ以外の時に、傷が付くことは、「製造時以外に調整および試験を禁止している」ので、本来ならば、あり得ない(注2)

(注1)一般に、製造日は、製造が完了した日、またはそれに準ずる日を「製造日」とします(注3)
したがって、製造日よりも後に、何らかの製造作業をすることは、通常ならば、あり得ないと言えます。

(注2)123便の機体が、墜落した日より前に、急減圧流などで飛行中にドアが開いた事実は、存在しないはずです。
したがって、この日、以外に、急減圧流などでドアが開いて傷が付くことは、あり得ないと言えます。

(注3)「それに準ずる日」とは、例えば、「社内での検査完了日」 「客先の立会による納入検査完了日」などです。
ただし、ボーイング社は、どのような制度になっているか分りません。

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以上のように、事故調が、分解調査のために付けた傷を別にすれば、それぞれの傷は、製造時の調整・試験の時に付いたか、墜落した日に付いたか、「二つに一つ」しかありません。

(a)前者の傷ならば、昭和49年(1974年)1月30日以前。
(b)後者の傷ならば、昭和60年(1985年)8月12日のみ。

その差、11年。
(a)は、11年前の「完全な古傷」。
(b)は、出来たばかりの「非常に新しい傷」。

分解調査したのは、墜落した日よりも後なのは、当然です。
それでも、11年間よりは、はるかに短い期間なのは、明らかです。

「図4 ショルダ・ナットのすり傷(左側)」で、事故調自身が、「分解作業で生じた傷」は、それ以外の「古傷」とは違うと、はっきり「認識している」のです。

にもかかわらず、11年もの差がある、(a)(b)2種類の傷に関しては、どちらが「古傷」で、どちらが「つい最近、付いたばかりの傷」か、まったく見分けがつかないと、言明するのは、明らかに不自然です。

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(分析E、の結論)(トリック4、の結論)  ※ 「トリック4、の結論」を追加 2016-4-22

上記の(b)「急減圧流でドアが開いた傷」が存在しないからこそ、(b)の傷は存在しないと、正直に言うことが出来ず、苦しまぎれに、「引用E」の最後で、「(どちらの傷なのか)明らかにすることはできなかった。」と、ごまかしているわけです。

「急減圧流は存在しない」と、事故調が認識していると、解釈できます。

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<長文のため、第9回目に続きます>

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