岩手県の高齢者施設「楽ん楽ん」9名溺死(台風10号)は非常に奇妙。常務理事・所長ともに「ウソをついている」可能性が濃厚(5) ― 2016年10月15日
第4回目の記事から続きます。
http://21utbmjdai.asablo.jp/blog/2016/10/12/8222512
※ 引用の出典はすべて「東京新聞の記事」なので、その明示は省略し、以下、掲載された記事の「日付」だけを、出典に明示します。
※ 引用文は、読みやすくするため、原文にはない改行を多数加えています。
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(引用O)「9月2日・朝刊」を引用します。
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「火災対策のマニュアルは整備し、訓練もしていたが、水害は想定していなかった」。
グループホーム 「楽ん楽ん(らんらん)」運営法人の佐藤弘明常務理事は明かした。
過去に数回、豪雨で近隣が浸水したが、大きな被害に至らなかったためだ。
ホ-ムは氾濫した川のすぐそば。
町のハザードマップは津波被害が中心で、洪水被害は想定していなかった。
一方、岩手県は氾濫した場合の浸水想定をしていた。
その後、東日本大震災による地形変化で状況が変わったとして、町には伝えなかったことも分かった。
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(引用O、以上)
(引用P)同じ「9月2日・朝刊」で、別の記事を引用します。
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台風10号の豪雨で九人が死亡した岩手県岩泉町の高齢者グループホーム「楽ん楽ん(らんらん)」の運営者が、移動に時間がかかる高齢者らの避難開始を求める避難準備情報の意味を知らなかったことが分かった。
(中略)
ホームの運営法人の佐藤弘明常務理事が同日、取材に「避難準備情報がそういうものと把握していなかった」と述べた。
(中略)
避難訓練は、火災発生を想定したものは年二回実施していた。しかし川の近くに立地しているにもかかわらず水害に関してはやっておらず、対応マニュアルもなかった。
ホーム周辺は過去にも水害があったが、二十センチ程度の浸水にとどまっており、佐藤常務理事は「(大きな被害は出ないという)過信があった」と述べた。
ホームを襲った水の流れについては、予想外の方向から来たと説明した。施設南側にある川が氾濫し、押し寄せると考えていたが、被害当時は、反対の北西側から流れ込んだという。
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(引用P、以上)
「引用O、引用P」を見ると、入所者たちを避難させることが出来なかったのは、「結果的に、やむを得ない」と、一見思えます。
しかし、それは表面的な見方に過ぎません。
良く良く見れば、「やむを得ない」と言うのは、「虚論だと」分かります。
(不自然23)
「洪水被害を想定していた。いなかった」という問題ではありません。
「避難準備情報の意味を知っていた。知らなかった」という問題ではありません。
「水害に関する避難訓練をしていた。していなかった」という問題ではありません。
「その対応マニュアルがあった。なかった」という問題ではありません。
現実に台風10号が襲来し、多量の雨が降り、場合によっては「洪水被害を受ける可能性がある」にもかかわらず、理事は「被害を受けるはずがない」と思い込んでいたことに、「異常とも言える、非常な不自然さ」を感じないではいられません。
図1を見て下さい。
(図1)施設と川との関係写真
出典『東京新聞 平成28年(2016年)9月1日朝刊』
図1を見ると、まだ川の氾濫(はんらん)が続いている状態なので、川と地面との境界が正確には分かりません。
それでもなお、川のすぐ近くに施設があると、容易に分かります。
さらに、十分な高さの堤防が、あるようには見えないと分かります。
施設のある敷地一帯は、ほとんど水平な土地であり、海抜高度も「川と、ほぼ同じ」と思えます。
このような状況ならば、台風に限らず、川が増水すれば、「たちまち氾濫し、施設全体が水没しても不思議ではない」と、誰でも容易に理解できます。
にもかかわらず、上記の引用文を見ると、理事は「その危険性をまったく認識していない」としか思えません。
あまりにも不自然です。
理事は、意識的に「そのようなウソをついている」としか思えません。
(不自然24)
「引用P」では、以下の記述があります。
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ホーム周辺は過去にも水害があったが、二十センチ程度の浸水にとどまっており、佐藤常務理事は「(大きな被害は出ないという)過信があった」と述べた。
ホームを襲った水の流れについては、予想外の方向から来たと説明した。施設南側にある川が氾濫し、押し寄せると考えていたが、被害当時は、反対の北西側から流れ込んだという。
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(引用Pの一部。引用、以上)
今さら言うまでもなく、「過去において20センチ程度の浸水だったのが事実であっても、今回も、必ず同じ程度になる保証は、どこにもない」のは明らかです。
まして、「南側から濁流が来れば、施設が水没するが、北側からならば、水没しないはず」というのは、あまりにもわざとらしい「虚論」です。
図2の説明図を見て下さい。
(図2)川と施設との関係説明図
出典『東京新聞 平成28年(2016年)9月8日夕刊』
図2を見ると、川が南側にあり、施設の北側に道路があると分かります。
さらに、図1を見ると、川と道路は、非常に接近していると分かります。
しかも、川、施設、道路、いずれの海抜高度も、「ほぼ同じ」と言えます。
このような状況では、「濁流が、南側から来ようが、北西側から来ようが、大差ない」と、容易に分かります。
「南側から濁流が来れば、施設が水没するが、北西側からならば、水没しない」と言える根拠は、どこにもないと、誰でも容易に分かります。
なおさら、理事の発言は、「意識的なウソ」と言わざるを得ません。
(不自然25)
「引用P」で、理事は、以下のように述べています。
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ホームを襲った水の流れについては、予想外の方向から来たと説明した。施設南側にある川が氾濫し、押し寄せると考えていたが、被害当時は、反対の北西側から流れ込んだという。
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(引用Pの一部。引用、以上)
この引用文を見ると、理事は、「施設南側にある川が氾濫し、濁流が南側から、押し寄せて来ると、予想していた」と言明しているのと同じです。
換言すれば、「南側から濁流が来れば、施設が水没すると、理事が予想していた」ことになります。
それならば、「引用O、引用P」で、理事が「避難の必要性を感じなかった」と、事実上主張しているのと、まったく矛盾します。
なおさら、理事は、「その場、その場で、自分勝手な、都合の良い発言をしている」と解釈せざるを得ません。
ますます、理事は「ウソ発言をしている」と言わざるを得ません。
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以下、長文のため、第6回目に続きます。
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『【続編】 岩手県の高齢者施設「楽ん楽ん」9名溺死(台風10号)は非常に奇妙。常務理事・所長ともに「ウソをついている」可能性が濃厚』
2020年09月12日
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