「FS」ならば、「飛行機の操縦」が素人でも自由に出来ます(9) ― 2017年02月18日
第8回目の記事から続きます。
http://21utbmjdai.asablo.jp/blog/2017/01/18/8326265
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前回(第8回目)の記事で、『FSO(フライト・シミュレーション沖縄)』における、2回にわたるシミュレータ操縦について述べました。
その内、1回目に行った、「タッチ・アンド・ゴー飛行訓練」で、飛行したコースを文章だけで説明しました。
そのため、文章だけでは分かりづらいので、「次回(今回)、図に描いて説明する」と予告しました。
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「タッチ・アンド・ゴー飛行訓練」で、飛行したコースを、「図1」に示します。
※※ 「図を参照しながら、本文をご覧になる時」は、当記事を「二つのタブで同時に開き」、一方のタブに、「図だけを常時表示させておく」と非常に便利です。
(図1)「タッチ・アンド・ゴー飛行訓練」の飛行コース
※ 「図1」は、滑走路や、飛行コースを「真上から見た」図です。
※ この図は、説明のための「概念図」です。
各区間の長さ(寸法比)などは、正確なものではありません。
(以下、すべての図が同様です)。
飛行機は、離陸する時も、着陸する時も、「風に向かって(風上に向かって)飛行する」と、多くの人が知っているかと思います。
「図1」では、滑走路と平行に、「滑走路の右側から、左側に向かって風が吹いている」状態です。
滑走路を基準として、右側が「風上」、左側が「風下」となります。
この場合、滑走路の左端側から、右側に向かって、「離陸滑走」します。
もし、「風向」が、逆に、滑走路の左側から、右側に向かって吹いている場合は、当然ながら、滑走路の右端側から、左方向へ、「離陸滑走」します。
さらに、風が、「滑走路に対して、斜めから吹いている」場合は、「斜め前方から風を受ける」方向になるよう、「滑走の方向」を選びます。
※ ただし、シミュレータで「お遊び操縦」を行う場合、「無風」に設定すれば、風は存在しなくなり、考慮する必要がありません。
これも、シミュレータの「ありがたい」ところです(笑)。
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「図1」では、離陸時は、滑走路の左端側から、右方向に離陸するので、滑走路から出た(離陸した)、最初の区間を「アップウィンド」と呼びます。
正しくは、「アップウィンド・レッグ」と言います。
滑走路末端を通過する時、すでに「それ相応の高度」に達しています。
「アップウィンド」区間を直線飛行しながら、さらに高度を上げます。
離陸時にはエンジンを最大出力(正しくは、離陸出力)に設定します。
その後、この区間を飛行しながら、所定の上昇出力まで、エンジンを少し絞ります。
所定の高度まで上昇し、90度、左旋回して、2番目の区間に入ります。
これが、「クロスウィンド(・レッグ)」です。
そして、さらに、90度、左旋回して、3番目の区間に入ります。
これが、「ダウンウィンド(・レッグ)」です。
「風向」は、右から左なので、ちょうど「追い風」で飛行することになります。
この区間を飛行しながら、エンジン出力を調整(減少)、車輪(ギア)を出すなど、着陸の準備を行います。
さらに、左下の滑走路を目視して、「滑走路の左端を基準点」として、次の区間へ左旋回するタイミングを把握します。
90度、左旋回して、4番目の「ベース(・レッグ)」に入ります。
この区間で、フラップ(主翼後方の下げ翼)を出し、エンジン出力をさらに絞ります。
最後の、90度旋回を行います。
5番目となる、滑走路と正対する、「ファイナル・アプローチ(最終進入)」の区間に入ります。
この区間の名称は、上記の通りで、「レッグ」は付きません。
この区間を飛行しながら、「最終的な着陸態勢」を確立します。
フラップ(下げ翼)を最大に下げる、着陸灯を点灯する、着陸のための飛行速度に合せる、等々を行います。
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「着陸灯」は、自動車の「ヘッドライト」と同じ目的の「前照灯」です。
管制官や、付近を飛行している他機に、自機の存在位置を明確に知らせる目的もあります(必要ならば、昼間でも点灯します)。
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さらに、滑走路の方向に、「機体の飛行方向」を正しく合せ続けます。
高度が、どんどん下がってきます。
滑走路が、どんどん近づいてきます。
一番、操縦が難しい時です。
一方、シミュレータを、「お遊びで操縦する場合」は、一番楽しい時です。
ただし、着陸に失敗した時は、非常に「がっくり」きます(笑)。
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「タッチ・アンド・ゴー訓練」の場合は、「タッチした後、ゴーする」必要があります。
滑走路に機体が「接地」したら、「着陸のこと」は、すぐに忘れる必要があります。
素早く頭を切り換え、直ちに、「離陸だけ」に専念する必要があります。
もたもたしていると、機体が、滑走路上で、どんどん前進し、その先の滑走路が「なくなって」しまいます。
そうなったら、「ゴー」ができません。
単なる「着陸」で終わってしまいます。
「タッチ・アンド・ゴー訓練」は、機体が滑走路に接地したら、直ちに、離陸滑走に移り、そのまま離陸するところに、大きな意味があります。
これは、前回(第8回目)の記事で述べた通りです。
http://21utbmjdai.asablo.jp/blog/2017/01/18/8326265
あらためて、「図1」で飛行コースを示すと、以下のようになります。
滑走路(離陸滑走開始)
↓
アップウィンド(離陸上昇、滑走路の延長線方向)
↓
クロスウィンド(滑走路と直角方向)
↓
ダウンウィンド(着陸準備開始、滑走路と平行方向)
↓
ベース(降下、滑走路と直角方向)
↓
ファイナル・アプローチ(着陸(接地)に向けて降下、滑走路と正対方向)
↓
滑走路(接地、直ちに、離陸滑走)
↓
アップウィンド(離陸上昇、滑走路の延長線方向)
↓
……(以下、繰り返し)
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もし、「ファイナル・アプローチ」の区間で、思うように「着陸態勢が確立できない」場合、迷わず、直ちに、「着陸復行(ゴー・アラゥンド)」を行う必要があります。
「着陸態勢が確立できない」状態で、着陸(接地)を強行すれば、「事故を招く」危険性が、増大します。
あるいは、事故を起してしまいます。
「着陸態勢が確立できない」とは、例えば、「高度」が適切ではない、「速度」が適切ではない、「飛行方向」が適切ではない、……等々です。
「高度が適切ではない」というのは、「高度が高過ぎる」、あるいは、逆に、「低過ぎる」ということです。
着陸(接地)のため、高度を、連続的に「下げ続け」ます。
そのため、「適切な下げ続け方」が、思うようにできないと、結果的に、高度が、「高過ぎたり、低過ぎたり」します。
「着陸復行(ゴー・アラゥンド)」は、着陸(あるいは接地)を取りやめ、機体を必要な高度まで再上昇させ、あらためて、着陸のコースに戻るための動作です。
したがって、車輪(ギア)を格納し、エンジン出力を「離陸出力」まで、一気に増大させます。
もし、高度が下がり過ぎると、エンジンを吹かしても、上昇しきれません。
だからこそ、「着陸復行(ゴー・アラゥンド)」をやるか、やらないか、もたもた迷っているひまはありません。
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自宅のパソコン・シミュレータで行っている、「お遊び操縦」では、「着陸復行(ゴー・アラゥンド)」は、いろいろな意味で「面倒くさい」ので、強引に「着陸、あるいは接地」をしてしまう場合が、少なくありません(笑)。
そんなことをしているから、なおさら、いつまで経っても操縦技術が、向上しないのです(笑)。
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「図1」の飛行コースは、「タッチ・アンド・ゴー飛行訓練」だけに使うのではないと、先般の記事で述べました。
『【連絡事項】 昨日の更新は中止しました / 次回の記事は「図を盛り込む」ので、更新に時間が、かかる可能性があります』
2017年02月12日
http://21utbmjdai.asablo.jp/blog/2017/02/12/8359509
何に使うかと言うと、「通常の離陸や着陸」にも使います。
この滑走路から、「通常の離陸」をして、「飛行場から離脱(出発)するコース」を示したのが、「図2、および、図3」です。
(図2) 離陸時の「離脱(出発)コースA」
(図3) 離陸時の「離脱(出発)コースB」
「図2」では、「アップウィンド」から、そのまま一直線に飛行して行きます。
もし必要ならば、高度も、どんどん上昇させます。
「図3」では、「アップウィンド」から、90度左旋回し、「クロスウィンド」を通って、45度の角度で、離脱します。
「クロスウィンド」を離脱した後、やはり必要なら、上昇もします。
その後の、飛行方向は、少なくとも2種類あります。
(1)ひたすら直線飛行を続け、「飛行場の管制空域」を抜け出す。
(2)「飛行場の管制空域」を抜け出す前に、必要な方向に「変針」する。
上記いずれであっても、それ以降の飛行中に、目的地への、所要の飛行コースに応じて、「予定した地点で(再度)変針」することになります。
これ以外の「離脱(出発)コース」が、少なくとも1種類ありますが、上記と大差ないので、省略します。
下記の「図4」は、この滑走路に「着陸する場合の、進入コース」を示したものです。
(図4) 着陸時の「進入コース」
図のように、「ダウンウィンド」に対して、外側から、約45度の角度で、入り込みます。
「ダウンウィンド」上で、斜めの進入コースが接する点は、縦方向の点線で示す通り、滑走路の「ちょうど中央部」の位置です。
(滑走路上に、「中央部を示す、横線(3本)」が、滑走路の横幅一杯に入っています)。
パイロットが、飛行場(滑走路)を目視しながら、この地点で、「ダウンウィンド」に入るように操縦します。
「風」が、右から左に吹いているので、「ダウンウィンド」では、左方向に飛行します。
(飛行方向を示す、緑色の矢印通りです)。
そのためにも、約45度の、斜めのコースで進入して行きます。
その後は、「図1」の説明で述べたのと同様にして、着陸します。
「タッチ・アンド・ゴー訓練」ではないので、機体が滑走路に接地しても、直ちに離陸滑走には入りません(笑)。
「図4」以外にも、進入コースが、少なくとも4種類あります。
しかし、説明が、これ以上、長くならないように、省略しておきます。
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以上の説明で明らかのように、いずれの区間も「一方通行」です。
直接的な理由は、すべての機体が、「風上に向かって離陸・着陸する」ためです。
副次的な理由としては、おそらく以下のようなものがあると思います。
◎ すべての、離陸機、着陸機が、「スムーズに飛行できる」ようにする。
◎ 空中衝突を防ぐ。
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「図1~図4」に示す、長方形を形成している「飛行コース全体」を指して、「場周経路(トラフィック・パターン)」と言います。
この「場周経路(トラフィック・パターン)」は、基本的には、下記「図5」のように、滑走路をはさんで、「左右に、2面」あります。
ただし、日本の場合、大半の飛行場では、左右どちらか一方しか、設定していないようです。
1面あれば、離陸にも、着陸にも支障はない、ということだと思います。
(図5) 左右両面の「場周経路(トラフィック・パターン)」
この「図5」でも、風向は、右から左に描いています。
そのため、飛行方向も、図の、「上側の場周経路」では、緑色の矢印通り、「反時計回りの方向」です。
一方、「下側の場周経路」では、緑色の矢印通り、今度は、逆に、「時計回りの方向」となります。
もし、風向が逆になれば、「図1」で説明した通り、飛行方向は、「上・下側の場周経路」ともに、「図5とは逆の方向」になります。
それを、「図1」を元にして描いたのが、下記の「図6」です。
(図6) 「逆の風向時」での、飛行方向
「図6」は、「場周経路(トラフィック・パターン)」を、上下に、二つ描いてあるので、一見、別々の経路に見えるかもしれません。
しかし、滑走路は同じなので、別々ではなく、同一の「場周経路(トラフィック・パターン)」です。
違うのは、「風の向き」だけです。
「上側の図」では、風向が逆に、「左から右」になっています。
その結果、同一の「場周経路(トラフィック・パターン)」でありながら、飛行方向が、まったく逆の「時計回り」になります。
ただし、パイロットから見れば、各区間の飛行順序は、何も変わりません。
異なるのは、「離陸する方向」が、正反対なのと、「旋回する方向」が、左旋回ではなく、「すべて右旋回」になる点です。
そのため、旋回方向を間違えると、まるっきり「あさっての方向」へ行ってしまいます(笑)。
滑走路を見失って、あわてふためくことになります(笑)。
シミュレータではなく、実機ならば、一大事です。
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この「場周経路(トラフィック・パターン)」を用いて、離陸や着陸をするのは、事実上、小型機(主にプロペラ機)だけです。
大手の航空会社が飛ばしている、ジェット旅客機の場合、これとは異なる飛行コースを用いて、同一の滑走路で、離陸や着陸を行います。
ただし、大手ではない航空会社が飛ばしている、小型のジェット旅客機などの場合は、逆に、「場周経路(トラフィック・パターン)」を用いて、離陸や着陸をする場合もあります。
それは、各空港ごとに、異なるものと思います。
昔、ジェット機が存在せず、プロペラ機だけの時代には、大型機も含め、すべての飛行機が、「場周経路(トラフィック・パターン)」を用いて、離陸や着陸をしていたはずです。
ところが、ジェット機が登場し、プロペラ機とは、飛行の状況が大きく変わってきたために、同一の滑走路で、ジェット機用の、新たな飛行コースを、別に設けるようになったものと思います。
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<以下、長文のため、第10回目に続きます>
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