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(新・新版) 21世紀は宇宙文明時代
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「オスプレイ事故」に関する、「ある著名科学者」の批判文に「重大な誤り」があります(2)2017年09月10日

[カテゴリ: 航空全般>その他]

第1回目の記事から続きます。
http://21utbmjdai.asablo.jp/blog/2017/08/30/8662448

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<3.やっかいな、話の混同>

前回(第1回目)に引き続き、著者「池内 了(いけうち・さとる)」氏の文章を引用します。

※ 読みやすくするため、原文にはない改行を、それぞれ加えています。

(引用D)
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逆に、通常の航空機モードからヘリコプターモードに切り替えようとプロペラを止めた場合、急減速に急降下が伴うということになります。

その時、機体から渦輪が生じて下降気流が発生し、機体が浮上しないまま失速してしまうという航空流体力学上の問題が生じることがシミュレーションで明らかにされました。

実際に、これに起因する事故も報告されているそうです。
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(引用D、以上)

この「引用D」で、第1行目は、前回(第1回目)の「引用C」そのものです。

前回で、「引用C」に関して述べたように、「プロペラを止める」ことは、あり得ません。

その意味において、この「引用D」で、第2行目、および、第3行目の論理も成立しません。


一方、第3行目では、「実際に、これに起因する事故も報告されているそうです。」と、著者は、言明しています。

著者の言う、「これに起因する事故」とは、何か、調べようとしました。

ところが、「具体的に、どの事故を指しているのか」、この文では、まったく不明です。

最低限、事故が起きた場所(地名など)を明示していれば、それを手がかりに調べることが出来ます。

これでは、調べようがありません。

やむなく、「第2行目の文」を見て、これを手がかりに、調べました。

まず第一に、自分自身の記憶を探りました。

毎月購読している、一般向けの航空雑誌『航空情報』(せきれい社/以前は酣燈 《かんとう》 社)で、第2行目の文で述べている、事故原因に関する記事を、だいぶ前に読んだ気がしました。

そこで、手元にある同誌を、すべて調べました。

ところが、該当する記事が見当たりません。

(ただし、今まで、何回も引っ越しを繰り返したので、同誌で、手元に残っているのは、ほんの数年分だけですが)。

やむなく、東京・新橋にある「航空図書館」に出向いて、調べました。

『航空図書館・日本航空協会』
http://www.aero.or.jp/koku_tosyokan/koku_toshokan.html

しかし、やはり、見当たりませんでした。

「この記事を見た」のは、記憶違いかもしれません。

(このような手間をかけたのが、当記事の更新に時間が、かかった理由の一つです)。

さらに、第二の方法として、やむなくインターネットで検索しました。

その結果、以下の事故ではないかと、推測することになりました。

『V-22の事故』
最終更新 2017年9月5日 (火) 22:03
<ウィキペディア>
https://ja.wikipedia.org/wiki/V-22%E3%81%AE%E4%BA%8B%E6%95%85

当ブログ(アサブロ)は、日本語を含むURLに(事実上)対応していないので、お手数ですが、手作業でアクセスして下さい。

一部を引用します。

※ 読みやすくするため、原文にはない改行を、それぞれ加えています。

(引用E)
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低率初期生産段階での事故

2000年4月8日

14号機が夜間侵攻での兵員輸送を想定した作戦試験時に墜落事故を起こし、乗員4名と米海兵隊員15名の計19名全員が死亡した。

事故機は、他のV-22に後続飛行しながらナセルを立てて着陸進入状態にあり、前方機が減速したので衝突を回避するために急減速し急降下を同時に行った。

操縦不能になる直前には、対気速度30kt以下で毎分約2,000ft(610m)で降下していた。

規定の降下速度である毎分800ft(244m)の2.5倍の急激な降下であったため、自らが生み出したVRS(vortex ring state、ボルテックスリングステート、セットリングウィズパワー、渦輪状態)と呼ばれる下降気流によって揚力を失ったための墜落事故だとされた。

事故の再発防止策として、危険な降下率となった場合にはコックピットに「Sink rate」と音声で注意しながら警告灯を点灯する装置が加えられた[1]。

その後も試験は続けられ、運用評価を2000年8月に完了した。
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(引用E、以上)

※ 「ナセル」(本文の2行目)とは、第1回目の記事で述べた、上下に首を振る「エンジン部全体」を指します。
(第1回目の記事)
http://21utbmjdai.asablo.jp/blog/2017/08/30/8662448

※ 「Sink rate」(下から2行目)は、カタカナで表現すれば、そのまま「シンク・レート」です。


「引用E」を見ると、「プロペラの回転を止めた」とは、一言もありません。

これを見ても、前述した「引用D」が、現実離れした「虚論」と分かります。


それとは別に、「引用E」で、下から3行目に、「…… 渦輪状態)と呼ばれる下降気流によって揚力を失ったための墜落事故」とあります。

これが、前述した「引用D」の2行目の文と、話が、それなりに「かみ合う」と思います。

そのため、この事故が、著者の言う、「これに起因する事故」であろうと、解釈しました。

以下、この線に沿って、述べます。

「引用E」の事故は、結論から先に言えば、「オスプレイ機に限らず、ヘリコプタすべてに当てはまる事故」と言えます。

オスプレイ機特有の事故では、ありません。

「引用E」の下から3行目に、以下の言葉があります。

◎ VRS(vortex ring state)
◎ ボルテックス・リング・ステート
◎ セットリング・ウィズ・パワー
◎ 渦輪状態

これらは、いずれも、同じものを指しています。

これは、オスプレイ機も含めて、ヘリコプタでは、ある特定の条件下では、どうしても生じる、やっかいな現象です。

ここで言う、オスプレイ機は、第1回目の記事で述べた、「(2) 垂直離着陸モード」で、飛行中の状態を指します。
(第1回目の記事)
http://21utbmjdai.asablo.jp/blog/2017/08/30/8662448

ヘリコプタは、回転翼(メイン・ローター)が、機体の下方向に、「強い下降気流」を、常に発生させています。

これによって、ヘリコプタは、空中に浮かぶことが出来ます。

ところが、着陸する際に、機体の前進速度が、遅くなりすぎると(単純に言えば、真下の方向に降下を継続すると)、自機の回転翼が発生してる「強い下降気流」に、自分の機体が、入り込んでしまいます。

その結果、この「強い下降気流」によって、最悪の場合、自機が「たたき落とされて」しまいます。

これが、上述の、「ボルテックス・リング・ステート、セットリング・ウィズ・パワー、渦輪状態」による、墜落事故です。


これを防ぐために、ヘリコプタといえども、例えば、むやみに「垂直着陸」は、行いません。

着陸コースを横から見ると、着陸地点に対して、「斜め方向に徐々に降下しながら着陸進入する」、飛行方法を行います。

ただし、固定翼機とは異なり、それほど長い距離をかけて「着陸進入の飛行」をするわけではありませんが。

そして、「着陸地点の真上」に達した後、静かに垂直降下して、着陸します。

「着陸地点の真上に達した時」の高度は、おおよそ数メートル程度のはずです。

(動画)
『ヘリコプター操縦! 着陸シーン(回転翼)』
2011/06/26 に公開
<Ueki Tomoo>
https://www.youtube.com/watch?v=DDin6gvtCEk

※ 機内からの映像なので、分かりづらいですが、ご参考までに掲示しました。
 (ちょうど良い動画が、見当たりませんでした)。


前述の、「ボルテックス・リング・ステート」に関して、ウィキペディアの記事があります。

ただし、素人向けの解説文になっていないので、非常に分かりづらいです。

一応、念のため、掲げておきます。

『ボルテックス・リング・ステート』
最終更新 2017年8月17日 (木) 14:24
<ウィキペディア>
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9C%E3%83%AB%E3%83%86%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%BC%E3%83%88

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<以下、長文のため、第3回目に続きます>


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