危険な「スマートメーター(電力量計)への交換」を拒否できます。ただし、その後どうなるかは分りません(5) ― 2019年05月22日
「第4回目の記事」 より続きます。
http://21utbmjdai.asablo.jp/blog/2019/05/01/9067047
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「東京新聞」 の記事を、さらに掲げます。
(図2) スマートメーター問題を報じる新聞記事(第2回目)
(出典: 『東京新聞』 平成31年(2019年)1月30日・朝刊 「こちら報道部」)
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「図2」 の記事全文を、「出典C」 として、引用します。
出典C: 『東京新聞』 平成31年(2019年)1月30日・朝刊 「こちら報道部」
※ 読みやすくするため、「原文にはない改行」 を加えています。
(引用C)
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■ 右側のページ
<見出し>
・火災続出 スマートメーター設置
・ビッグデータ活用 狙い
・経産省 積極旗振り
<左キャプション (写真説明文)>
屋外に設置されているスマートメーター=一部画像処理
<右キャプション>
スマートメーターについて語る本橋恵一さん
<リード>
不良品や施工ミスで火災が続出している次世代型電力計の「スマートメーター」。
電気料金が安くなるわけでもなく、今のところ目立つのは利用者が背負うリスクばかり。
なのになぜ、国と電力会社は設置を急ぐのか。
経済産業省は、集積した消費電力のデータで新たなビジネスをつくろうと検討している。
導入を議論し始めた当初を探ると、狙いは最初からそこにあった。
<本文>
二○○九年八月、大学教授や電力会社の幹部が名を連ねる経産省の会合「次世代送配電ネットワーク研究会」が始まった。
一〇年四月までに九回開かれたこの会合で、スマートメーター導入が検討された。
スマートメーターとは、電力使用量を三十分ごとに計測する電力量計。
円盤が中でぐるぐる回る従来型のアナログメーターは月に一度、検針員が月ごとの使用量を計測していた。
多くのスマートメーターは、データを記録するごとに電波で情報を電力会社に送る。
経産省の会合は非公開で、議事録も公表されていない。
どんな話し合いがあったのか。
「意外かもしれないが、当初、電力会社側はスマートメーターの導入を嫌がっていた。積極的に進めたがったのは経産省だった」と、電力システムの取材を続けてきた環境エネルギージャーナリストの本橋恵一氏は説明する。
「自分たちは電気を供給していればいい」という姿勢の電力会社に対し、経産省側がスマートメーターの導入を迫るという構図だった。
経産省が押し切り、一〇年六月にエネルギー基本計画が閣議決定された。
すべての電気利用者への設置を目指すとされた。
さらに、一一年三月十一日の東日本大震災が、後ろ向きだった電力会社の背中を押した。
この時、東京電力などは電力需要をまかなえないとして、地域ごとに送電を止める「計画停電」をした。
病院などの施設も停電し、自家発電装置で急場をしのぐことになった。
スマートメーターがあったらどうだったか。
電力会社が操作し、施設ごとに電気を送ったり止めたりすることが可能だった。
本橋氏は「電気を止めたら人命に関わる施設まで計画停電させたことに、電力会社として責任を感じたのだろう」と推測する。
この後、スマートメーター導入の流れが加速する。
東京電力の場合、二〇年度を目標に全約二千九百万台をスマートメーターにしようと作業を急いでいる。
電力会社を押し切ってまでスマートメーターを導入しようとした経産省の狙いは何だったのか。
当時はすでに電力自由化の流れがあった。
その頃、経産省側は「スマートデーターのデータを利用して客を取っていかなくていいのか。やらないのなら、他の会社にやらせるぞ」と電力会社に迫っていた。
本橋氏は、当時の状況をこう振り返る。
本橋氏は「スマートメーターで電力会社に蓄積された各家庭のデータを、ビッグデータとして活用し、新たなビジネスチャンスをつくる。経産省の担当者は『まさにこのために進めているんだ』と言っていた」と明かす。
この狙いは資料からもうかがえる。
一〇年五月から始まった経産省の「スマートメーター制度検討会」の資料には、電力使用量や氏名などの情報を、第三者に提供することを示す図がある。
そこには、「本人の同意による第三者への情報提供」などと書かれている。
「スマートメーターを設置してメリットがあるのは、新しいビジネスを創出できる事業者側だ。消費者側にはない」。
本橋氏はこう言い切る。
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■ 左側のページ
<見出し>
・消費者 メリット乏しく
・事業者にはビジネスチャンス提供
・再生エネ 主力電源化なら意味あるが…
<キャプション (写真説明文)>
電力使用量のデータ活用を検討している経済産業省=東京・霞が関で
<本文>
経産省は二〇一八年十月から、スマートメーターで新たなビジネスをつくりだそうと研究会を始めた。
すでに五回、開催している。
研究会事務局の資源エネルギー庁電力産業・市場室の下村貴裕室長は「どうデータを活用していくべきかという議論の中で『こんなこともできるのではないか』というアイデアはいろいろ出てきている。まだ、英国や米国・カリフォルニア州など、海外ではどうやっているのかを研究している段階」と説明する。
そのアイデアの一つが把握した人口動態の利用だ。
電力使用量のデータを見れば各家庭が留守かどうかが見通せる。
それを分析し、時間ごとにどの地域から人が減るのか、どこに人が集まるかを探る。
小売業者や飲食店は、出店の際の判断材料に使える。
宅配業者なら、留守の少ない時間帯を選んで効率的な配達ルートを組むことができる。
「プライバシーの問題はしっかりやらなければならないが、電力データでイノベーションが期待できる。ポテンシャルが高い」と下村室長は語る。
そうかもしれないが、あくまでも事業者側の話。
メーターを取り付けられた側は商売に使われるだけだ。
経産省や東電が利用者側のメリットとして挙げるのが節電効果。
「自分がどれだけ電力を使っているかが分かるため省エネに寄与する」 「電力の需給状況によつて電力料金を安くすることもできるようになる」などと説明してきた。
ただ、リアルタイムに消費電力量を手元のスマホなどで「見える」ようにするには、スマートメーターだけでは足りない。
HEMS(ヘムス)と呼ばれるシステムが必要で、費用は利用者側の負担だ。
家電大手「パナソニック」では八万五千~十四万円台。
さらに工事費がかかる。
ヘムスがあれば、外出先で家電を操作したり、自動でエアコンを調整したりすることもできる。
とはいえ、対応家電をそろえなければならない。
スマートメーターのメリットを生かすには、多額の費用が必要なのが現実だ。
スマートメーターは再生可能エネルギーの普及にも必須とされている。
東京工業大名誉教授の柏木孝夫氏(エネルギーシステム)は「曇っていたり風が吹かなかったりして再生可能エネルギーでの発電量が足りないと、消費量もそれに合わせないとブラックアウトする。利用者に節電を頼まないといけないが、電力会社がいちいち電話で知らせるわけにもいかない」と語る。
この時、優先度の低い窓際の照明などから自動で電気を止めて、消費量を抑えるような取り組みが必要になる。
スマートメーターは必須だが、これだけでは一軒丸ごと電気が止まる。
機器ごとの細かな調整には「ヘムスが必要だ」と柏木氏は語る。
多くの人が期待するよう効果を得るには、スマートメーターだけでなく、ヘムスも普及させなくてはならない。
しかし、国がそれに本腰を入れているとはとても思えない。
結局、スマートメーターの普及で恩恵を受けるのはビッグデータの売買で金もうけできる事業者。
利用者は発火の危険性を負いながら個人情報を提供させられるだけではないのか。
主婦連合会の河村真紀子事務局長は「自宅もスマートメーターになった。月一回だった検針が千四百四十回に増えただけ。経済優先で、消費者や市民が置いてけぼりだ。少なくとも、データ活用してもいいかどうか、消費者に選ぶ権利を与えるべきだ」と訴える。
そして、「そもそも、スマートメーターが発火して家が火事になった時、誰が責任を取るのでしょうか」と素朴な疑問を口にした。
[ デスクメモ ]
スマートメーターに期待する多くの人は、再生可能エネルギーの普及に必要と考えているのだろう。
実際、それはその通りだが、現実はそちらに向かっていない。
ここでも出てきたビッグデータ。
結局、われわれの行動が商売のネタに使われるだけだ。
そのごほうびが火災とは。
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(引用C、以上)
この 「引用C」 に関する、具体的なことは、次回述べます。
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以下、長文のため、第6回目に続きます。
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