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(新・新版) 21世紀は宇宙文明時代
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JAL123-事故調査報告書「ボイス・レコーダ記録」を見ると、「急減圧流は存在しない」と解釈できる(3)2017年12月23日

[カテゴリ: JAL123便>CVR記録]

第2回目の記事から続きます。
https://21utbmjdai.asablo.jp/blog/2017/12/02/8739015

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前回(第2回目)の記事で、以下の問題について述べました。

(問題点B) 客室乗務員は、「急減圧が生じたとは、一言も発言していない」 と、思えてならない。

今回(第3回目)も、引き続き、この問題点に関して述べます。

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日本航空ではなく、全日空ですが、「急減圧が生じた時の、典型的な対処方法」 について、以下の図書に明示してあります。

米田憲司 ・ 著 『御巣鷹の謎を追う 日航123便事故20年』 (宝島社)

「典型的な急減圧発生時の操縦マニュアルである」 と、同書142ページで述べています。

この時に行うべき「操縦マニュアル」 を、著者が、説明のために記述(引用)しています。

同書では明示していませんが、内容からすると、「ボーイング747型機の操縦マニュアル」のはずと思います。

かなり長文ですが、急減圧が発生した時、「運航乗員たちが、何をどのように行う」のか、非常に分かりやすいので、以下、引用します。

※ 「印刷物である、同書の誌面レイアウト」 を、そのまま、当ブログ画面上で用いると、かえって分かりづらくなるので、少し変更しています。
※ 引用文中で、<説明文> の表示は、原文にはありません。
※ 原文では、「説明文」 に相当する部分全体を 「かぎかっこ」 で囲む表現をしています。
※ <著者の発言文>  の表示も、原文にはありません。

※ 必要に応じて、「原文にない改行」 を加えています。

(引用D)(上記の同書139~142ページ)
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■ 全日空の急減圧発生訓練

どの航空会社でも、運航乗員は片方のエンジンがトラブルを起こしてストップしたときの対応や機体が損傷して機内の空気が一気に外に吐き出されることによって起きる急減圧の対応訓練をシミュレーター(模擬飛行装置)を使って行なっている。

(中略)

ここでは、全日空の運航乗員に急減圧に対処する典型的な訓練の方法を聞いたので紹介したい。


★何かの原因で急減圧が発生したと想定。

機長   「どうした 何が起こった」
副操縦士 「ラピッド デコンプレッション」(急減圧だ)
機長   「マスク オン」(酸素マスクをつけろ)

<説明文>
この間、航空機関士は数秒で空気漏れが原因となった減圧を想定して、四基のエンジンから抽出される空気(注1)を共通ダクトに集め、共通ダクトに二個装備されている分離弁の一方を閉じる。

そうすることによって、分離弁より下流に空気漏れがあった場合は正常なダクトが空気を供給するので、減圧を停止することができる。

また、三個装備されている与圧装置すべてを作動させることによって、減圧の程度を緩和する場合もある

航空機関士はこれらの操作をしても減圧が回復できないときは、機長に報告する。

(注1)客室内など機内の「与圧、および、空調」は、ジェット・エンジンの内部で得られる高圧空気(燃焼させる前の空気)の一部を取り出して、「所定の気圧や温度に調整」 して、行っています。
そのため、エンジンに不具合が生じると、そこで発生した 「煙など」 が、客室内に流入する故障が生じることがあります。
それが、時々、マスコミでも報じられます。


機長 「OK。緊急降下実施。1万3000フィートまで降下する。ATCトランスポンダーを7700(緊急事態発生コード番号)にセットせよ(注2)

(注2)「ATCトランスポンダー」 と、「スコーク7700」 については、お手数ですが、以下の記事を、ご参照下さい。

(既存の記事)
『JAL123-「スコーク77」に関する、大きな「虚論」(1/8)』
2015年12月10日
https://21utbmjdai.asablo.jp/blog/2015/12/10/7943988


<説明文>
機長はオートスロットル=自動推力装置を外し、エンジンをアイドル(注3)にし、スピードブレーキ(注4)を開いて交差する航空機と衝突の可能性の少ないほうへ変針し、急降下を開始する。

副操縦士は安全ベルト着用サインを点灯させ、ATCトランスポンダーを7700にセットし、ATC〈東京航空交通管制部〉機関(注5)に緊急降下を通告する。

(注3)「アイドル」 とは、自動車のアイドリングと同じです。
エンジンの出力(回転数)を、最小限に絞る状態を指します。
当然ながら、機体を浮かせる力はありません。
機体は、ドンドン降下して行きます。
一番、急降下しやすくなります。
ただし、エンジンを停止したら、与圧、油圧、電力なども、すべて停止するので、どれほど急降下する場合でも、エンジンを停止するわけには行きません。

(注4)「スピードブレーキ」 は、操作レバーが、機長席のすぐ右脇にあります。
このレバーを、手前に引き起こすと、動作します。
お手数ですが、以下の記事を、ご参照下さい。
この文中で、「(図1)ボーイング737-800シミュレータ操縦室正面の写真」 の部分で述べています。
(ただし、機種は、ボーイング747型機ではなく、ボーイング737型機です)。

(既存の記事)
『「FS」ならば、「飛行機の操縦」が素人でも自由に出来ます(4)』
2016年09月15日
https://21utbmjdai.asablo.jp/blog/2016/09/15/8190590

(注5)「ATC機関」 とは、「航空管制機関」の全体を指す表現です。
「東京航空交通管制部」 に限りません。
この 「全日空の操縦マニュアル」 では、ATCとして「東京航空交通管制部」 を通信相手として想定しているので、このような注記を入れたものと思います。


副操縦士 「東京航空交通管制部(注6)、こちら全日空000便。急減圧発生。緊急降下を開始した。1万3000フィー卜まで降下する」
ATC  「了解。全日空000便、緊急降下を承認する。1万3000フィー卜まで降下せよ。到達したら一報せよ」

(注6)「副操縦士」 の発言で、「東京航空交通管制部」 の言い回しは、実情に合いません。
「東京コントロール」 という表現を用いるのが、「航空管制の無線通信」 としては、本来のやり方です(これより後で、この表現が出てきます)。
航空管制に限らず、無線通信では、「相手や自分を表す名称(呼出符号、または、呼出名称 = コール・サイン)」 が、電波法に基づき、「無線局の免許状」 で、規定されています。
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<修正>

上記、「注6」 の最終行は、「あいまいで、非常に紛らわしい表現」 です。

申し訳ありません。

以下の通り、「修正」 します。

(1)最終行で、「…… 相手や ……」 の部分を削除します。

(2)そのため、上記の最終行を、次のように変更します。

航空管制に限らず、無線通信では、「自分を表す名称(呼出符号、または、呼出名称 = コール・サイン)」 が、電波法に基づき、「無線局の免許状」 で、規定されています。

(3)さらに、以下の 「説明文」 を、この 「最終行の後」 に追加します。

「相手」 を呼び出す時は、相手側の 「無線局の免許状」 に規定されている、「相手側のコール・サイン」 を用いて、呼び出します。

「無線局の免許状」 には、それぞれ、「自分側のコール・サインだけ」 が、規定(記載)されています。

「自分側」 の免許状に、「相手側のコール・サイン」 までは、規定(記載)されていません。

「自動車に例える」 ならば、「自分の車」 には、「自分のナンバープレートしか」 付いていません。
「他車のナンバープレート」 までもが、付いているはずがありません。
それと、同じです。

「注6」 の2行目にある、「東京コントロール」 が、この場合では 「相手側のコール・サイン」 です。

<この項追加。H30 / 2018-1-6>
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<説明文>
この間、航空機関士は十五秒から二〇秒以内に最低回転数に絞ったエンジンが停止しないように点火装置のスイッチをオンにしておく(注7)

(注7)「ジェット・エンジン」 の場合、エンジンが始動し、安定すれば、点火栓の動作は停止します。
エンジンの燃焼室内で、燃料が燃焼しているので、その後から注入される燃料も、自動的に発火燃焼します。
そのため、点火栓を常時動作させる必要がありません。
一方、飛行中に、気象状況の影響で燃焼の炎が消えてしまうなど、何らかの可能性があれば、意識的に点火栓を動作させます。
ピストン・エンジンでは、自動車と同様、常に点火栓を動作させます。
どちらのエンジンでも、航空機の場合、点火栓は2系統あり、安全性を高めています。


また、客室高度を確認し、1万3000フィートを超えていれば(注8)乗客用酸素マスクが自動的にドロップしていることを確認する。

作動していなければ、スイッチを操作してマスクをドロップさせる。

(注8)ここで言う「客室高度」 は、客室内の 「与圧の強さ(気圧)」 のことです。
機体が実際に飛行している場所(高さ)を表す、「飛行高度」 とは意味が異なります。
パイロットにとっては、「気圧そのもの」 で表現するよりも、「その気圧に相当する高度」 で表現したほうが、操縦する上で実用的なので、「気圧ではなく高度」 で表現しています。
「1万3000フィートを超えていれば」 とは、客室内が、この高度よりも 「高い高度にある」 ことを、意味します。
つまり、「与圧の気圧としては、必要な気圧よりも低い」 ことを意味します。
そのため、酸素マスクが、自動的に落ちてきます。
(機体外側の「大気」 においては、「高度が高いほど、気圧が低い」 のは、言うまでもありません)。
◎ 気圧の単位は、「psi(ポンド・パー・スクエア・インチ)」 です。
1psi ならば、1平方インチ当たり、1ポンドの圧力となります。
1psi = 0.07307kg/cm2


機長  「航空機関士は急減圧・緊急降下のチェックリストを実施せよ」(注9)
機関士 「了解」

<説明文>
航空機関士は該当するチェックリストに従って無言でチェックする。

無言のチェックは極めて緊急性を要求する事態であるため、パイロットには機の操縦に専念させ、余計な負担をかけさせないためである。

(注9)日本語としては、「チェックリストを実施する」 との表現は、いささか不自然とも言えます。
しかし、航空界では、この表現を用います。
「英語の直訳」 かもしれません。


機長  「状況を点検して知らせよ」
機関士 「依然として機内与圧はコントロールできない。機体に損傷はない」もしくは「機体に重大な損傷がある」

<説明文>
機長は機体に損傷がなければ車輪を降ろして降下率を深める操作を、機体に重大な損傷があれば、車輪は格納したまま、あまり深すぎない降下率で急降下する。(注10)

(注10)「車輪を降ろせば」 空気抵抗が増えるので、機体は、より一層降下します。
そのため、緊急時でなくても、着陸進入中などに、飛行速度を抑えるために、意識的に車輪を降ろす場合もあります。
ただし、「車輪を降ろせる最大限度の飛行速度」が、機種ごとに決まっています(車輪の破損を防ぐため)。


航空機関士は機長の指示に従って、操作に手抜かりがないかを確認していく。

これは緊急降下開始後から操作してきた共通ダクトの分離弁の閉鎖、すべての与圧装置の作動、安全ベルト着用サインの点灯、酸素マスクの作動、エンジン点火装置の作動スイッチオン、車輪の状態確認、自動操縦装置の使用有無、速度が限界を超えていないか、スコーク7700のセット、バンク角が45度を超えていないこと(注11)などを再確認する。

(注11)「バンク角」 とは、機体の 「左右方向の傾き」 を表す角度のことです。
以下の記事で、「(図10)最も重要な計器写真の説明」 の部分で、多少述べています。
(ただし、この記事では、「バンク角」の表現は、意識的に行っていません)。

(既存の記事)
『「FS」ならば、「飛行機の操縦」が素人でも自由に出来ます(4)』
2016年09月15日
https://21utbmjdai.asablo.jp/blog/2016/09/15/8190590


機関士 「確認終了」
機長  「了解」

<説明文>
機体が1万3000フィートまで、あと2000フィートに近づいたとき。


副操縦士  「目標高度の2000フィート手前」
副操縦士  「目標高度の1000フィート手前」

<説明文>
機長は目標高度で巡航に切り替えるためにスピードブレーキを元に戻し、降下率を緩和し始め、適当な時期にパワーをアップし、他の乗員に速度、出力を提示する。

機体が水平飛行に移行した段階になると。


機長 「チェックリストの残りを実施せよ」(注12)

(注12)緊急降下から、水平飛行に戻した後にも、「急減圧・緊急降下チェックリスト」 で点検する必要があるので、その点検項目は、「緊急降下中には、点検せず保留」 にしてあります。
水平飛行に戻ったので、「保留した、残りの点検項目を点検しろ」 と機長が命じたわけです。


<説明文>
航空機関士はスピードブレーキがダウン位置に格納されていることの確認、車輪引き上げの確認、高度計の気圧補正=飛行中の地域の気圧による高度計の補正(注13)=を行う。

乗員酸素供給システムを純酸素から空気と酸素の混合供給に切り替える(注14)などを確認し、報告する。

(注13)航空機の高度計は、「気圧高度計」 と、「電波高度計」  の2種類あります。
通常は、「気圧高度計」 を用います。
「高度に応じて、気圧が変化する」 大気の性質を利用して、「気圧の変化に対応する高度に換算」 して、目盛りを振ってあります。
この「目盛りを、針が指し示して」、高度を 「フィート(単位)」 で表示します。
ところが、気象の変化により、同じ地点でも、気圧が変化します。
そのままでは、勝手に高度の指示が、変化してしまいます。
それを防ぐために、気象機関が、常時気圧を測定し、航空管制機関に伝えます。
その気圧値を、無線でパイロットに知らせます。
パイロットは、それを受けて、「気圧高度計」 のツマミを回して、現在の気圧値に合わせ、高度計の指示を補正します。
そのため、「気圧高度計」 には、「気圧数値を表示するための、小さな窓」 が設けてあります。
ただし、現代の 「デジタル式計器」 では、もっと 「堂々とした表示方式」 になっています(笑)。
◎ 「電波高度計」  は、「着陸時だけ」に使います。
小型機などは、費用がかかるので、「電波高度計」 までは装備していません。

(注14)乗客用の酸素マスクと、運航乗員用の酸素マスクとは、システムがまったく別系統になっています。
そのため、「純酸素」 から、「空気と酸素の混合供給に切り替える」 操作を行うようです。
(素人なので、この点は、良く分かりません)。


機長 「状況を知らせよ」

<説明文>
機体が1万3000フィートまで下りていても、客室高度はまだ酸素マスクがドロップする高さであるため、さらに安全な一万フィートまで降下することになる(注15)

(注15)「注8」 で述べたように、「機体の飛行高度と、客室高度」 は、意味が異なります。
ここでは、「機体の飛行高度が、1万3000フィートまで低下したにも関わらず、客室高度は、それよりも高い高度に陥ったまま(気圧が低いまま、回復しない)」 ということになります。
そのため、さらに、機体を1万フィートまで低下させて、「客室の気圧を、与圧で高めるのではなく、自然に高める」 判断を下しました。


機関士  「客室高度1万3000フィートのまま」
機長   「了解、1万フィートに降下する」
副操縦士 「束京コントロール、全日空000便、1万フィートまでの降下を要求する。依然として与圧装置をコントロールできない」
ATC  「全日空000便、許可する。降下し、1万フィートを維持せよ」
機長   「1万フィートに到達したら客室に酸素マスクを外してよいと連絡を。乗客の状態、客室の様子を聞いてくれ」


<説明文>
副操縦士または航空機関士は、インターホンを使って客室乗務員に酸素マスクを外しても支障のない旨を伝え、客室の状況を確認。機長に報告する。


機長 「オキシジェンマスク オフ」(運航乗員の酸素マスクを外してもよろしい)

<説明文>
まず、副操縦士と航空機関士がマスクを外し、その間は機長が単独で機の操縦を行なう。

副操縦士と航空機関士がマスクを格納したらその旨をコールする。

そのコールを確認して機長は操縦を一時、交替することを指示。


機長   「操縦を交替せよ」
副操縦士 「こちらが操縦を引き受けた」

<説明文>
機長は自分のマスクを外して格納する。


機長 「操縦を代わる」(注16)

(注16)実際には、副操縦士が、「そちらと操縦を交代する」 と返答するはずです。
機長が 「自分で操縦する」 と言明したにも関わらず、副操縦士が、それに応じて返答しないと、厳密に言えば、「操縦の主導権を、誰が握っているのか」 分からなくなります。
これは、非常に危険です。
下手をすると、「お互いに、『自分が主導権を握っている』 との誤解に陥る」 危険性があります。
「操縦主導権」 の受け渡しは、「必ず、お互いに明確に行う」 必要があります。
この時、用いる言葉は、次の2種類と明確に決まっています。
◎ 相手に主導権を委ねる時 → 「ユー・ハブ(ユー・ハブ・コントロール)」
◎ 自分が主導権を持つ時 → 「アイ・ハブ(アイ・ハブ・コントロール)」


<説明文>
これ以降は「緊急事態」を脱出できたので相談しながらその後のフライトについて打ち合わせる。


<著者の発言文>
典型的な急減圧発生時の操縦マニュアルである。

123便のボイスレコーダーの会話と比較すると、まったく急減圧が起きている事態とはかけ離れていることがよく分かる。
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(引用D、以上)


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この「引用D」 については、次回(第4回目)、具体的に述べます。

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以下、長文のため、第4回目に続きます。

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