危険な「スマートメーター(電力量計)への交換」を拒否できます。ただし、その後どうなるかは分りません(9) ― 2019年07月06日
「第8回目の記事」 から続きます。
http://21utbmjdai.asablo.jp/blog/2019/06/28/9092811
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第4回目となる、「東京新聞記事」 を掲げます。
(図4) スマートメーター問題を報じる新聞記事(第4回目)
(出典: 『東京新聞』 平成31年(2019年)3月25日・朝刊 「こちら報道部」)
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上記 「図4」 の記事全文を、「出典E」 として、以下に引用します。
出典E: 『東京新聞』 平成31年(2019年)3月25日・朝刊 「こちら報道部」
(引用E)
※ 読みやすくするため、「原文にはない改行」 を加えています。
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■ 右側のページ
<見出し>
・約束した覚えないのに
・東電側から質問に回答
・縛られる消費者
「送配電網の利用 設置承諾が条件」
<リード>
突然燃える事故が相次ぐ次世代型電力計のスマートメーター。
「設置は拒否できるのか」という質問に回答が来た。
一読してよく分からないものの、東京電力側はどうやら「断れない」という見解のようだ。
その根拠が契約に付随する「約款」。
契約内容を定型的に事細かに示したものだ。
ほとんどの人が読んだこともないだろう。
本当にそんなもので強制できるのか。
(石井紀代美)
[東電側への質問と回答]
Q.スマートメーターへの取り換えは拒否できるか
A.必要性やその効果について理解を得られるよう丁寧に対応していく
Q.拒否した人に電気の供給停止を迫るのは、法の「供給義務」に抵触しないか
A.電気供給を希望する際は、約款の承諾を前提にしている
Q.その約款はどんな規定か
A.「計量器は当社が選定し取り付ける」と「30分単位の計量」
[電気の流れと契約] (解説図)
※ 文章での表現は省略
(後述の 「図5」 で、画像を表示)
<本文>
「こちら特報部」は二月八日、スマートメーターの設置を進める東電のグループ会社「東京電力パワーグリッド」(PG)に質問した。
回答は広報の寺内壮氏から同二十日に届いた。
主な質問のうち「設置は拒否できるのか」に対し、回答は「スマートメーターの必要性やその効果等について理解を得られるよう丁寧に対応して参ります」。
ちょっとかみ合わない。
続いて「設置を拒否した人の電気を止めることはできるのか」という問いには、「(電気の)供給義務はあるが、消費者が電気の供給を希望する際は託送供給約款への承諾を前提にしている」との答えだった。
正直なところ、よく分からない。
一生懸命考えつつ読んだ。
約款の中にスマートメーターを設置するという定めがあり、それを承諾した人に送電するということのようだ。
逆にいえば、設置に応じない人には電気を送らないとも読み取れる。
そう考え、再質問を繰り返した。
約款についてPGは「PGが計器を選定して取り付ける」 「電力は三十分ごとに計量する」という規定だと回答した。
PGの言う約款とは「託送供給等約款」。
実物に当たってみた。
実に二百六ページあり、送配電についての事細かな取り決めが記されていた。
PGが言う規定も確かにあった。
三十分ごとに計測する機器とは、スマートメーターにほかならない。
だから、スマートメーターを拒否する人の電気を止めることができる、そんな理屈になる。
そしてスマートメーターを事実上、強制されることになる。
「こんな約束があるなら仕方ない」と思う人もいるかもしれない。
ただ、少し引っかかる。
一般の人が見る約款には、せいぜい「託送供給等約款を承認すること」とあるだけ。
内容まで分かりようもない。
こんなことになった背景には二〇一六年四月に始まった電力の小売り全面自由化がある。
東電は自由化に合わせて分社化。
消費者は東電エナジーパートナーや東京ガスなどの小売り事業者と電気を使う契約を結ぶ。
小売り事業者は、別の会社が持つ送配電網を使って、消費者に電気を届ける。
この「別の会社」がPGだ。
そして託送供給等約款はPGと小売り事業者の間で交わす。
つまり、消費者は契約相手ですらないPGが决めた約款に、縛られることになる。
理不尽ともいえる状況なのに、正当化するからくりがこの約款にはある。
送配電網を使う前提として、「託送供給等約款に消費者が承諾していること」という規定がある。
小売り事業者が消費者を説得できなければ、PGの施設は使えないということになる。
だからスマートメーターを断ったら電気が止まる。
それが東電側の主張となる。
そして、スマートメーターがどんどん家の壁に取り付けられ、時々、発火するという状況になっている。
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[デスクメモ]
電車、宅配便、宿泊、保険…。
何をするにも約款がついて回る。
暇をもてあまし、何度か解読に挑戦した。
小さな文字でなじみのない言葉が並ぶ。
目が疲れ、途中から読み飛ばす。
結局、ほとんど頭に入らない。
そんな約款が二百ページ余り。
やはりスマートメーターは勘弁してください。
(裕)
2019.3・25
■ 左側のページ
<見出し>
・危険かもしれないのに
・スマートメーター
・「約款」が設置根拠
・「相手方の利益を一方的に害する場合」
ダイヤルQ2で無効事例
・消費者の対策
私有地へ出入り拒否
所管省庁へ苦情訴え
裁判でも十分争える
<左上側キャプション(写真説明文)>
東京電力パワーグリッドが入る東電本社=25日、東京都千代田区で
<右中側キャプション(写真説明文)>
火災などのトラブルが相次ぐスマートメーター=東京都内で
<本文>
火災が起きると時に壁が焦げ、停電は数時間に及ぶことがある。
今までなかったからと言って、建物に延焼する心配がないとも言い切れない。
送配電網はPGが独占しており、消費者には選択の余地はない。
危険かもしれない物体の設置を事実上、強制する。
そんな約款は法律的に問題ないのだろうか。
「覆すのはハードルが高い」と紀藤正樹弁護士は語る。
紀藤氏は和牛預託商法で問題となった安愚楽牧場事件で被害者弁護団長を務める。
ほかにも、さまざまな消費者問題を扱い、約款の効力について詳しい。
約款には行政が認可したものと、それ以外の二種類がある。
紀藤氏によると認可を得ている約款を否定するのは極めて難しい。
「いわば行政がお墨付きを与えている格好」だからだ。
今回の約款は経済産業省が認可している。
過去を振り返っても、認可約款が争点となった訴訟で、消費者側の訴えは次々と退けられている。
では、従うしかないのかというと、必ずしもそうとは言い切れない。
実は一件だけ認可約款が無効になったケースがある。
「ダイヤルQ2訴訟」だ。
NTTが行っていた「ダイヤルQ2」というサービスを子どもが使い、親など電話の契約者が高額の請求をされた。
国が認可した当時の「電話サービス契約約款」では、他人が掛けた電話でも、料金は契約者が支払う決まりで、親側が「それはおかしい」と訴えた。
最高裁は二〇〇一年、訴えを一部認め、料金の支払い義務を否定したほか、NTTに通話料の一部返還も命じた。
判決の中で最高裁は、NTT側の対策の不十分さを厳しく批判した。
紀藤氏は「相手方の利益を一方的に害する約款は、無効になる場合がある」と説明。
二〇年に施行される新民法では、この内容が条文に書き込まれ、より明確になる。
Q2訴訟の前例から、紀藤氏は認可約款にも適用されると考える。
では、無効の条件となる「一方的に害する」とは何か。
紀藤氏は「生命、身体、財産などに対する危険性の程度が大きな判断材料になる」と強調する。
スマートメーター火災はこれまでに二十七件発生。
東光東芝メーターシステムズ製の不良品による火災もあれば、ネジの締め付けが甘いという作業上のミスが原因のものもある。
紀藤氏は「ネジの締め付けが弱いだけで燃える事例がいくつもあるような製品なら、危険性があると言える。そういう製品を一律に相手にのませる約款が無効とされる可能性は十分にあるだろう」と推測する。
消費者問題から米軍基地問題まで手掛ける呉東 《ごとう》 正彦弁護士も、約款には懐疑的。
約款自体か、機械的に約款を適用するPGの姿勢に問題があると考える。
「火災で全財産を失う恐れがあり、ひいては人の命にも関わりかねない。それなのに、約款には選択肢が一つしかない」。
民法の「権利をみだりに用いてはならない」という基本原則に触れかねないという。
では、消費者側はどう対応すればいいのか。
呉東氏はまず自宅がある土地への出入りを拒否するよう提案する。
「スマートメーターが嫌な人は、私有地に作業員が入ることをはっきり拒否すればいい。『火災が起きているから工事に応じない』という主張は正当だろう」と説明する。
電気を止めると警告されれた時 (注) は「約款を認可した経産省や、消費者問題を所管する消費者庁に苦情を訴えればいい。電気が止まる事態は行政としても好ましくない」。
そして呉東氏は「万が一裁判になったとしても十分に争える。スマートメーターを強制できないということは、東電もよく知っているはずだ」と語る。
(注) 「警告されれた時」 の表現は、原文記事のままです。
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(引用E、以上)
(図5) 「電気の流れと契約」 説明図を抜粋表示
(出典: 『東京新聞』 平成31年(2019年)3月25日・朝刊 「こちら報道部」)
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「引用E」 に対する具体的なことは、次回述べます。
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以下、長文のため、第10回目に続きます。
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