JAL123-スコーク77に関する、大きな「虚論」(4/8) ― 2015年12月13日
(修正) 「当記事の要点」を全部削除しました。<R5/2023-8-4>
「なくても良い」と判断しました。
同時に、「見出し」としての<当記事の要点><記事本文>も削除しました。
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前回(3/8)に引き続き、池田著書の具体的な問題点の分析を行います。
池田昌昭著『御巣鷹山ファイル2-JAL123便は自衛隊が撃墜した』(文芸社)
同書P.60 『2 被要撃信号「スコーク77」』を引用します。
(引用C)
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しかも「当方に従え」の指示に従わなく、横田基地に着陸しようとしたために、山岳地帯へと誘導指示したと。これはあくまでも軍隊の論理なのである。
しかも要撃軍用機は、当然にも民間機JAL123便がなぜ、被要撃信号「スコーク77」を発したかを充分に分かっていたはずである。「スコーク77」の原因を分かっていたはずである。
であれば「予定経路に航空機を復帰せしめる」のが普通である。
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(分析C)
[引用Cで、上段について]
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しかも「当方に従え」の指示に従わなく、横田基地に着陸しようとしたために、山岳地帯へと誘導指示したと。これはあくまでも軍隊の論理なのである。
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これも、池田著者の無意味な主張です。
「『当方に従え』の指示に従わない」
「横田基地に着陸しようとした」
この場合、必ず「山岳地帯へと誘導指示する」と、決まっているわけではありません。
「○○へ誘導指示」するとさえ、決まっているわけではありません。
その時の、さまざまな状況に応じて、「どのようにするのか」検討し、決定します。
「これはあくまでも軍隊の論理なのである」と、もっともらしく述べていますが、そのようなものではありません。
それどころか、要撃機の指示にしたがわず、敵対的行動をとれば、要撃側が「明らかに敵機である」と判断して、その場で、被要撃機を「攻撃し、撃墜」しても、不思議ではありません。
こちらの方こそが、「軍隊の論理」です。
以上は、著者の主張する「要撃」が実在したとの前提で、説明しました。
もし、著者の主張するような「要撃」が存在しなければ、なおさら、著者の論理は無意味です。
なお、要撃に関して、日本の場合は、法律の規定もあり、自衛隊機が「撃墜され」または「それに近い」状況になり「正当防衛」が成立しない限り、自衛隊機側が、被要撃機を「撃墜」するのは、できないはずです。
要撃機は、2機一組で行動します。
もし、1機が撃墜され「正当防衛が成立した」ならば、もう1機が、ただちに反撃することになります。
2機一組で行動するのは、要撃機に限りません。
特に理由がない限り、戦闘機は、必ず2機でペアを組んで行動します。
一番の目的は、お互いの死角をカバーし合うためです。
戦闘機は、その構造上、パイロットから見て後方や機体下方が死角となり、視認しづらいので、2機がお互いに、相手の死角から敵が接近して来ないかを監視し合います。
もちろん、レーダーやミサイル警戒システムなどを駆使しますが、それとは別に、肉眼による「視認」も重視しています(特に、近接戦闘の場合)。
[引用Cで、中段以降について]
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しかも要撃軍用機は、当然にも民間機JAL123便がなぜ、被要撃信号「スコーク77」を発したかを充分に分かっていたはずである。「スコーク77」の原因を分かっていたはずである。
であれば「予定経路に航空機を復帰せしめる」のが普通である。
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これは、まったく矛盾した論理です。
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……なぜ、被要撃信号「スコーク77」を発したかを充分に分かっていたはずである。
「スコーク77」の原因を分かっていたはずである。
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この部分を見ると、とりもなおさず、自衛隊側が123便を「攻撃した」と、著者が、事実上、主張していることになります。
それならば、123便を「攻撃した側である」自衛隊が、わざわざ「予定経路に航空機(123便)を復帰せしめる」はずがありません。
逆に、123便を「墜落」させるのは明らかです。
「予定経路に航空機を復帰せしめる」というのは、要撃側が、要撃を続ける必要がないと判断し、被要撃機を、要撃から「解放する(要撃を終了する)」ことを意味します。
したがって、著者が主張する、「であれば『予定経路に航空機を復帰せしめる』のが普通である」は、まったく矛盾します。
完全に、むちゃくちゃな論理です。
著者は、「予定経路に航空機を復帰せしめる」の意味が分っていないのは、明らかです。
[引用Cで、下段について]
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であれば「予定経路に航空機を復帰せしめる」のが普通である。
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「普通である」と、決まっているわけではありません。
被要撃機の状況に応じて、その場、その場で、一番良いと判断した方法、あるいは一番必要と判断した方法を取るのが当然です。
「要撃した場合、必ず、このようにするのが普通である」と、決まっているはずがありません。
前回(3/8)引用した、ICAO の規定である、
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1.1 b) 実施する場合、予定経路に航空機を復帰せしめること、
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これは、「被要撃機が、無害の民間機と判明したら、これ以上要撃を続けず、要撃を終了しなさい」という意味です。
ICAOが要撃を受けた民間機を護るために、要撃を行う各国政府(軍隊)に対して、このように要求しているのです。
要撃を行う軍隊の立場に立って、軍隊のために言ってあげているのではありません。
繰り返しになりますが、著者は、「スコーク7700とは何か」「要撃とは何か」「攻撃とは何か」「ICAO規定は、何のためにあるのか」…………いずれも「誤解している」としか言いようがありません。
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JAL123-スコーク77に関する、大きな「虚論」(3/8) ― 2015年12月12日
(修正) 「当記事の要点」を全部削除しました。<R5/2023-8-4>
「なくても良い」と判断しました。
同時に、「見出し」としての<当記事の要点><記事本文>も削除しました。
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https://21utbmjdai.asablo.jp/blog/2015/12/11/7945326
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前回(2/8)に引き続き、池田著書の具体的な問題点の分析を行います。
池田昌昭著『御巣鷹山ファイル2-JAL123便は自衛隊が撃墜した』(文芸社)
同書P.59~60 『2 被要撃信号「スコーク77」』を引用します。
(引用B)
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そしてさらに言えば被要撃信号「スコーク77」を発したJAL123便にたいして、軍用機もしくは軍事管制所が指示に従うように「誘導」したのである。
(中略)
軍用機の側から言わせれば、JAL123便が被要撃信号「スコーク77」を発したから、ICAO(国際民間航空機関)条約「付属文書2」の「民間航空機に対する要撃」に拠り、誘導指示したと。
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(分析B)
[引用Bで、下側の行について]
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軍用機の側から言わせれば、JAL123便が被要撃信号「スコーク77」を発したから、
ICAO(国際民間航空機関)条約「付属文書2」の「民間航空機に対する要撃」に拠り、誘導指示したと。
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これは、著者のまったくの誤解です。
著者は、正反対に解釈しています。
ICAOが作成した「国際民間航空条約・第2附属書 航空規則」の中に、「添付A 民間航空機の邀撃(ようげき)」の規定があります。
この中の、「5.被邀撃機による行動」を引用します。
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2.1 他の航空機によって邀撃されている航空機は、直ちに、下記のことを行わなければならない。
a)~c) 省略
d) 二次捜索レーダー(SSR)トランスポンダーを装備している場合、航空交通業務機関当局から別段の指示がない限り、モードA、コード7700を選択する。
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※「二次捜索レーダー(SSR)トランスポンダー」とは、ATCトランスポンダのことです。
※「航空交通業務機関当局」とは、民間航空の管制機関のことです。
※「モードA」は、ここでは考慮する必要がないので、説明は省略します。
要するに、d) の規定は、「ATCトランスポンダを装備している航空機は、民間の管制機関から、スコークに関して、特に指示されない限り、スコーク7700を送信せよ」という意味です。
ここで大事なのは、「2.1 他の航空機によって邀撃されている航空機は、直ちに、下記のことを行わなければならない。」の部分です。
「他の航空機によって邀撃されている航空機は」と、明記しています。
軍用機に「要撃」されたら、それに基づいて、「スコーク7700を送信せよ」と規定しているのです。
「スコーク7700を送信したから、要撃される」わけでは、決してありません。
ところが、著者は、123便が「スコーク7700を送信したので」、それに応じて、自衛隊機が「要撃した」と、まったく逆の受け止め方をしています。
順序が逆です。
大変失礼ながら、素人ならではの、まったくの考え違いです。
スコーク7700は、「遭難信号」です。
民間機がエンジン故障など、何か重大な不具合が生じ、救援を求めるために「遭難信号」を送信したら、救援が来ないで、代わりに「軍用機に要撃された」のでは、おちおち「遭難信号」を出していられません。
ICAOに限らず、どこの組織、機関であっても、そんな「むちゃくちゃ」な規定をするはずがありません。
[ICAOは、なぜこの規定を設けたのか?]
私が知り得た範囲では、その理由はどこにも明記していません。
やむなく推測しますが、「自分の機が、軍用機によって要撃された事態を、本来の管制相手である、民間航空の管制機関に伝えるのが目的であろう」と、思います。
軍用機が要撃してきた以上、軍隊側は、この機体を要撃中だと、分りきっています。
わざわざ、被要撃機が、軍隊に対して、スコーク7700を送信するまでもありません。
ところが、民間機である被要撃機にとって、本来の管制相手(無線交信の相手)である、民間航空の管制機関側は、軍隊から連絡を受けない限り、その機体が、要撃を受けているとは分りません。
そのため、被要撃機が、みずから速やかにスコーク7700を送信するよう、規定しているものと思います。
スコーク7700を伝える相手は、軍隊ではなく、民間航空の管制機関です。
もちろん、音声の無線交信で、民間航空の管制機関に「要撃を受けている」と伝えることもできます。
ところが、要撃機側が無線で呼びかけてきた時、あるいは「手信号」などで呼びかけてきた時は、それに応える必要があります。
結果的に、管制機関側に伝える暇がなくなります。
それを少しでも防ぐために、「まずは、スコーク7700を送信せよ」と規定しているものと思います。
[「被要撃信号」と解釈するのは、不適切]
「自機が要撃を受けていると通知する」という意味では、スコーク7700は、「被要撃信号」と言えなくもありません。
しかし、それは、池田著者の誤解に基づく「無意味な私見」に過ぎません。
スコーク7700は、あくまでも「遭難信号」です。
民間機が要撃を受けた時に送信するスコーク7700の意味は、「貴国を攻撃する意図のまったくない、無害な民間機である自機が、図らずも貴国の軍用機から要撃を受ける、不本意な『緊急事態に陥っている』」という意味です。
このような緊急事態に対し、緊急事態だと伝えるために定めてあるスコーク(使用可能なスコーク)は、7700しかありません。
そのため、本来は「遭難信号」であるスコーク7700を、要撃を受けた時にも使うように、いわば「流用せよ」と、規定してあるのです。
[ICAOは民間航空の「業界団体」]
ICAOは、国連の一員である、「国際民間航空機関」です。
全世界の「民間航空界」のための、国際的な組織です。
民間機を「縛(しば)り、抑え付けるため」の組織ではありません。
世界中どこの場所でも、民間機が安心して、自由に飛行できるように、環境を整えるための組織です。
民間機を「護る」ための組織です。
「要撃を受けたら、スコーク7700を送信せよ」の規定も、その基本方針から定めたものです。
要撃機、つまり、軍隊側のために定めたものではありません。
要撃を受けた民間機を「護る」ために、定めたものです。
それは、以下の規定からも、はっきりと分ります。
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1.1 a) 民間航空機の邀撃(ようげき)は、最後の手段としてのみ実施すること。
b) 実施する場合、予定経路に航空機を復帰せしめること、国内空域も境界外に出るよう指示すること、禁止、制限又は危険空域から退去せしめるように誘導すること。
又は指定飛行場に着陸するよう指示することが必要でない限り、邀撃は、航空機の識別の確認のみにとどめること。
c) 民間航空機の邀撃演習を行わないこと。
(以下省略)
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上記は、『附録2 民間航空機の邀撃 1.各国によって遵守されるべき諸原則』を一部引用しました。
これらの規定は、邀撃を行う国の政府に対して、「これらの配慮を持って邀撃をするように」と要求しているのです。
要撃を受けた民間機を「護る」ための規定です。
要撃機に対して、「要撃のやり方」を教えてあげているのではありません。
[引用Bで、上側の行について]
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そしてさらに言えば被要撃信号「スコーク77」を発したJAL123便にたいして、軍用機もしくは軍事管制所が指示に従うように「誘導」したのである。
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すでに述べたように、スコーク7700は「遭難信号」であり、「被要撃信号」ではありません。
さらに、自衛隊が、123便を「要撃」することはあり得ません。
したがって、この行も、池田著者の誤解による、無意味な発言です。
自衛隊側が、123便を「攻撃した」と、著者が考えているならば、「要撃した」ではなく「攻撃した」と表現しなければ、話がめちゃくちゃになります。
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ICAOが作成した、「国際民間航空条約(日本語訳版)」は、「航空図書館(日本航空協会)」で閲覧できます。
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JAL123-スコーク77に関する、大きな「虚論」(2/8) ― 2015年12月11日
(修正) 「当記事の要点」を全部削除しました。<R5/2023-8-4>
「なくても良い」と判断しました。
同時に、「見出し」としての<当記事の要点><記事本文>も削除しました。
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池田昌昭著『御巣鷹山ファイル2-JAL123便は自衛隊が撃墜した』(文芸社)
同書P.59 『2 被要撃信号「スコーク77」』を引用します。
(引用A)
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このようななかでJAL123便機長が、午後六時二四分過ぎ、相模湾上空で「ドーン」という衝撃音のあとすぐに「スコーク77」を発した意味が分かるのである。
「スコーク77」は、JAL123便が要撃された意味なのである。
操縦不能の「スコーク77」ではなくて「謎の飛行物体」に要撃されたからなのである。
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(分析A)
「『スコーク77」』は、JAL123便が要撃された意味」は、意味のない発言です。
「『謎の飛行物体」に要撃されたから」も、意味のない発言です。
[要撃(迎撃)とは何か]
少なくとも日本における「要撃(迎撃)」は、日本の領空より、はるか遠くに設定した「防空識別圏」に対し、外側から接近してきた「正体不明の飛行物体」を認識した時、それが何であるかを調べるために、航空自衛隊の戦闘機を発進させ、「正体不明の飛行物体」に接近し、戦闘機パイロットがそれを肉眼で視認し、「正体」を把握するための行動です。
さらに、正体が判明すれば、それに応じて、適切な行動を取ります。
警察に例えるならば、警察官が、挙動不審者を発見した時に、「職務質問」を行うようなものです。
「職務質問」は、正規の警察官が行います。
正体不明の「謎の人物」が行うものではありません。
それと同じです。
少なくとも日本において、「謎の飛行物体」が要撃することは、あり得ません。
航空自衛隊の「正規の戦闘機」が、自分の所属を隠すことなく、正々堂々と、公然と要撃を行います。
要撃した結果、「被要撃機」に対して、状況により、退去を指示したり、所要の飛行場に着陸することを要求したりします。
そのためにも、要撃側が、「自分が何者であるか」を明示する必要があります。
換言すれば、「日本国の航空自衛隊の正規な戦闘機である」と、「被要撃機」に明示し、日本国の名において、相手機に指図します。
もし仮に、「謎の飛行物体が要撃」したら、「被要撃機」側が、正規の要撃と判断出来ず、「正体不明の敵」が「攻撃してきた」と、早とちりする恐れがあります。
それでは、「要撃」側にとって、やぶへびです。
[JAL123便が要撃された、は無意味]
日本航空123便が、自衛隊機から「要撃」を受けることは、あり得ません。
同機は、決して「正体不明の飛行物体」ではないからです。
同機は、日本の領土内である羽田空港から離陸した、「日本航空123便」という、日本の国籍を持つ、日本航空に所属する民間機であり、機種はボーイング747SR-100であり、無線のコールサイン(呼出符号)は「ジャパンエア123」であり、飛行コースはいずれも日本の空域であると、航空自衛隊自身が、はっきりと認識しています。
それを、いちいち「要撃する」ことは、あり得ません。
大型のジェット旅客機から小型の単発軽飛行機まで、すべての民間航空機は、出発する前に「フライト・プラン(飛行計画書)」を、空港事務所を通じて、航空管制機関に必ず提出します。
図1 管制機関に提出するフライト・プラン(飛行計画書)
(出典:『航空実用辞典』 朝日ソノラマ)
※※ 図を参照しながら、本文をご覧になる場合、当記事を 「二つのタブ」 で同時に開き、一方のタブを 「図の表示専用」 にすると、非常に便利です。
123便の当時は、これとおおよそ同じような書式です。
この「フライト・プラン」に基づいて、運輸省(現在は、国土交通省)の管制部門が航空管制を行います。
同時に、航空自衛隊の防空レーダー部隊にも、この「フライト・プラン」が、航空管制システムを通じて伝わります。
したがって、自衛隊側も、この機体が離陸する前から、「日本航空123便」だと把握しています。
要撃することは、あり得ません。
池田著者は、別の部分で、「123便が、スコーク7700を送信したから、自衛隊が要撃した」と主張しています。
しかし、「ICAO(国際民間航空機関)条約・附属書」の内容を完全に取り違えた、暴論です。
これについては、次回、詳述します。
[要撃(インターセプト)と攻撃(アタック)を混同]
(「引用A」の最後の行)
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操縦不能の「スコーク77」ではなくて「謎の飛行物体」に要撃されたからなのである。
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これを見ると、著者は、「要撃(インターセプト)」と「攻撃(アタック)」を混同しているとしか思えません。
著者の言う、「謎の飛行物体」が、衝突しそうなほど123便に極端に接近、あるいは、何か具体的な損傷を与えたとすれば、それは、「要撃」ではありません。
「攻撃に近い」、または「攻撃そのもの」の行動を取ったと言えます。
「要撃(インターセプト)」は、前述のように、警察に例えれば、不審者に対する職務質問に相当します。
つまり、「被要撃機」が、一体何者であるかを、見極める行為です。
軍隊として行う、一種の「警察行動」です。
被要撃機が「敵対行動」を取ったら、その時、初めて、反撃のための「軍事攻撃」を行うのです。
いきなり、「軍事攻撃」を行うのではありません。
一方、「攻撃(アタック)」は、要撃を行うのではありません。
いきなり、敵を倒すための「攻撃」を行います。
したがって、攻撃する相手に対し、「被要撃機」と認識しているのではありません。
「敵機」そのものと認識しています。
警察に例えれば、単なる「職務質問」ではなく、相手を「明らかな容疑者として逮捕」する行為です。
したがって、123便が「謎の飛行物体」から「何らかの『攻撃』を受けた」と、著者が考えているならば、「攻撃された」と表現するべきです。
それを「要撃された」と表現するから、話がめちゃくちゃになるのです。
著者は、「要撃」と「攻撃」を混同しているのは明らかです。
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前回(1/8)、ファイルサイズ容量を超えたので、掲示しきれなかった図を、念のため、以下に掲示します。
図2 ATCトランスポンダ本体部
(出典: 『実用航空無線技術』 情報通信振興会)
※上図では、装置の内部を見せるために、向かって右側の「ふた」を外しています。
通常では、内部は見えません。
図3 管制レーダー画面(シミュレーション)
(出典: 『実用航空無線技術』 情報通信振興会)
※上図は、正規の管制レーダー画面ではなく、「シミュレータ」です。
おそらく、管制官の訓練用シミュレータだと思います。
※便名、飛行高度などを、文字で表示しているので、どれがどの機体か容易に判別出来ます。
便名、飛行高度などの「文字データ」は、航空機上のATCトランスポンダから得た信号に基づき、地上の管制用コンピュータが処理して、画面に表示します。
※左上、オレンジ色の不連続線は、地形(海岸線)を表示しています。
※現在の管制レーダーは「デジタル式」ですが、123便当時のレーダーは「アナログ式」です。
そのため、機体自身を表す映像は、デジタル処理をした上図と異なり、一次レーダが受信した、「点状」の映像をそのまま表示しています。
※アナログ時代は、ブラウン管ディスプレイを用いているため、画面が良く見えるように、管制室内は照明を極端に落としていました。
現在は、デジタル式のため、パソコンと同じように、明るい部屋でも画面が確実に見えるので、管制室の照明も、通常の事務室と同様、明るく照明しています。
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